2003年11月  JEITAニューヨーク駐在・・・荒田 良平

米国のB2C電子商取引の動向

はじめに

今月は、米国におけるB2C電子商取引の動向について取り上げる。
2000年のドットコムバブル崩壊後、B2C電子商取引業界は厳しい淘汰の波に洗われ、多くの事業者が倒産や事業閉鎖の憂き目をみたのであるが、この間もB2C電子商取引自体は着実に成長を続けてきた。そして、淘汰が一段落した昨年あたりから、生き残ったB2C企業の黒字転換など明るいニュースが増えてきている。
本稿では、最近のB2C電子商取引の動向を概観するとともに、関連事項として、州・地方政府によるオンライン売上税の導入を巡る動向についても触れておくこととする。
なお、本稿の執筆にあたっては、Gaean International Strategiesの原口健一氏に資料収集などの面でお世話になっている。


1. B2C電子商取引市場の動向

まず、商務省の統計から、B2C電子商取引の市場規模・動向について見ておきたい。

少し古いが、図表1に示すように、最新の統計データである2001年の米国における電子商取引額は、対前年比0.4%増の1兆660億ドルであった。全体の9割超を占めるB2Bが景気減速から0.2%減となったものの、B2Cは9.2%の伸びを示している。(なお、ここで電子商取引とは、発注又は価格・条件交渉がオンラインで行われた商取引を指しており、支払いがオンラインで行われたか否かは問わない。)

また、このうち小売業及び一部のサービス業について、さらに代表的なものを抽出してグラフにしたものが図表2及び図表3である。

図表2に示すように、小売業の中でも先行して電子商取引が進展していたコンピュータ・ハードウェアや書籍・雑誌は2001年に対前年比マイナスとなったものの、自動車・部品販売、衣類・装身具・靴、事務機器・用品、家具・装飾品など多くの分野で厳しい経済環境下にもかかわらず電子商取引が順調に成長している。

また図表3に示すように、サービス業では旅行斡旋・予約が、電子商取引の金額が多いのみならず総収入に占める割合で群を抜いている。また、出版、コンピュータ・システム設計などで電子商取引額が多い。なお、バブル期に注目されていた証券・商品取引仲介は、2001年には市場低迷もあって金額、総収入に占める割合ともに対前年比で大幅減となっている。

もう少し最近のデータとしては、商務省が小売業における電子商取引の四半期ごとのデータを公表している。

続き→

| 駐在員報告INDEXホーム |

コラムに関するご意見・ご感想は Ryohei_Arata@jetro.go.jp までお寄せください。

J.I.F.に掲載のテキスト、グラフィック、写真の無断転用を禁じます。すべての著作権はJ.I.F..に帰属します。
Copyright 1998 J.I.F. All Rights Reserved.