98年1月  JEIDA駐在員・・・長谷川英一

97年の回顧と98年の展望 -1-


はじめに

 例年、1月のニューヨーク駐在員報告は前年の回顧と新年の展望ということになっている。前任者の前川徹に倣い、私もこのテーマに挑戦してみないわけにはいかないだろう。ただ、情報技術産業の裾野は爆発的に拡大しており、その全体をレビューすることは不可能なので、独断で話題を選んで報告することにしたい。その前に私自身、本報告を書き始めるに当たって、前任者が前年、前々年に何を書いていたかというところに戻って勉強しているところなので、皆様にも一寸お付き合い願いたい。

 95年の回顧と96年の展望では、まず、IBMのリストラを経た好業績に着目している。DECも業績が良くなってきていた。次にMPUである。ペンティアムの次が何になるか、ペンティアム・プロは出ているが、ペンティアムの後継にはならず、マルチメディア対応のペンティアム(現在のMMX)が続くだろうとしている。続いて拡大するPC市場である。何と、95年の米国市場はコンパック、パッカード・ベル、アップルの3社がそれぞれ260万台程度の出荷という僅差で1〜3位を分けていた。パワーマックは生産が間に合わないほどの状況であったが、それでも業績は芳しくなく、アップルの身売りは96年を賑わせる話題になるだろうとしている。そして真打ちはウィンドウズ95の登場についてである。米国で95年8月に発売されたウィンドウズ95は、導入に慎重な企業ユーザーもあったが、歴史的な売上げを記録し始めていた。「次の戦場」について、グループウェア対イントラネットを上げている。前者については、95年6月にはIBMがロータスを買収し、ノーツに力を入れ始めている。後者については、95年8月のネットスケープ社の株式公開が話題になったが、インターネットに関連する企業が軒並み市場の注目株となったことでもわかるように、インターネットがビジネスの世界に急速に浸透し、イントラネット構築の基礎ができてきていた。「さっそく社内のネットワークをイントラネットにする計画に着手してみては。」として締め括っている。

 さて、96年の回顧と97年の展望であるが、「快走するウィンテル」から入っている。事実上のスタンダードになったペアは97年も快走を続けるだろうと見ている。続いて企業の業績を見ると、DEC、ユニシス、クレイなどのコンピュータ・メーカーが不振であり、好調であるはずのインターネット関係企業でも大手ISPやヤフーなども赤字を計上している。続いてBeOSの話題に触れ、パソコンの家庭への普及と、それを補うかもしれないWebTVの登場を取り上げている。そして、ネットワーク・コンピュータ(NC)が97年に実質的な1年目に入るが、対抗するはずのNetPCがどのように姿を見せるのだろうかとしている。「アシスタントが選んだTop-10」という話題が続く(残念ながらこのアシスタントは前任者の帰任と時期を同じくして辞めてしまったので今回は使えない)。その中はインターネットの話題が盛りだくさんである。96年成立した「通信品位法」が97年に違憲とされるか(された)、電子マネーは何がデファクトとなっていくのか、暗号技術輸出規制緩和はどうなるのか、等々である。最後に「インターネットの崩壊!?」と題して、インターネット崩壊説を唱えているイーサネット発明者のメトカーフ氏の話題を取り上げつつも、急増するトラフィックに対してOC-3やOC-12がバックボーンの主流となり、「97年も引き続きインターネットは拡大し、進化し続けて行くに違いない」と結んでいる。

 さて、それでは97年の締め括りと98年の展望としては何から書き始めたら良いのだろう。

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